糸井 |
‥‥T-1の立ち上げ以来、
みなさんにはいろいろと
ご迷惑をおかけしましたけど
今回のT-1のようなことは、
以前からずっと、やりたかったんですよ。
自分たちがイニシアティブをとって
クリエイティブできる機会って
そうなかなか、ないものですから。
なにかをつくって、
それが人々のところへ届く。
そんな、シンプルだけど重要なことを
自分たちでやれる「場所」。
それは、たとえば
「雑誌」や「自動車のデザイン」
でも良かったのかもしれない、
だけど、スタートするにあたって
一番ふさわしい場所だったのが、
「Tシャツ」だったんです。
そして、第2回のT-1は
本当の「ワールドカップ」にしようと
たくらんでいます。
ヨーロッパやアメリカだけでなく
できることならば
南米やアジアのデザイナーまで
巻き込んでいきたいなぁと、
いろいろ考えているところです。
‥‥という
糸井の「マクラ」を皮切りに、
トップランナーたちによる
刺激に満ちあふれたやりとりが
ざっくばらんに、交わされました。 |
卓 |
世界各地のデザイナーが参加したら
一体どんなTシャツが出てくるのか、
個人的にもちょっと、楽しみですね。 |
トム |
制作過程を取材して、
それぞれのデザイナーに話を聞いて、
それらをそのつど更新して‥‥という
T-1のホスピタリティを
世界に伝えることができれば
スゴいことになるんじゃないかなぁ。 |
糸井 |
日本では、外国の「劣化コピー」を
つくるような時代が長かったけれど、
いまは「日本発」や「Tokyo Design」
というキーワードが
かなり注目されてるらしいですね。 |
可士和 |
たしかに、
僕らくらいの世代になると
(註:可士和さんは1965年生まれ)
外国のデザイン誌を
むやみにありがたがる、って発想は
ほとんどなくなりましたね。 |
卓 |
ひと昔まえのように
まずは洋書屋さん行って、だとか
そういう感じじゃないですよ、今は。 |
糸井 |
安売り店なんかのぞくと、たまに
「グッド」でも「バッド」でもない、
「欲しいデザイン」のTシャツが
あったりしますよね。 |
卓 |
沖縄とかに旅行して
現地のお店で売られている
缶ジュースのデザインなんか見ると、
「これはすごい!」
「俺にはできない!」
って思っちゃうことありますよ。 |
全員 |
ははははは。 |
卓 |
仮にそれが、
誰か有名なデザイナーを
真似たものだったりしても、
彼らなりに
自分のものにしちゃってる、すごさ。 |
可士和 |
「良くない」デザインの
「良さ」ってあるんですよね。
「蕎麦屋のカレー」、みたいに。 |
卓 |
ややもすると、
美しいもの、に対する
自分の記憶に照らし合わせて
こうじゃなきゃいけないはずだ、と
デザインしちゃうじゃないですか。
そのあたりの
凝り固まった考えかたを
壊してくれるというか‥‥。 |
トム |
ここにいるみなさんが、
そういう「缶ジュース」を見て
なにかに触発され、
新しいデザインを生みだす。
それに目をつけた
地方のジュース屋さんが
似た感じのデザインをつくる。
そうしてできたデザインを
また僕らが見つけて‥‥という
お互いのフィルターを掛け合いながら
サイクルしているんだと思います。 |
糸井 |
今回のT-1ワールドカップには
広告的なマーケティングや調査に
慣れている人が多く参加していたから
結構みんな「勝ち」にいってると思うんです。
アッキィなんか、どうだった? |
秋山 |
そうですねぇ‥‥。
いろいろ案を出してみて
最後は結局、
3歳の娘の気に入ったデザインに
決めたんですが、
ターゲットは子供じゃなかったんですよね。 |
全員 |
ははははは。 |
秋山 |
でも、「ほぼ日」が
幼稚園でやったアンケートによると
ぼくの「熊」のTシャツが
一番だったんですよ。
それは、嬉しかったなぁ。 |
糸井 |
今回は、
勝負の解析をするのが
非常に難しいんですけれども
物語の通じやすさ、という部分で
トムのデザインが
一番だったということなのかな。
|
糸井 |
祖父江さんは
今回のT-1、いかがでしたか? |
祖父江 |
今日は、シャツの下に
自分のTシャツを着てきました!
このTシャツを
梱包パッケージから出して
透明フィルムからはがすときに
なんだかカエルの脱皮みたいで‥‥。 |
全員 |
わはははは。 |
祖父江 |
なかなか見られないんですよ、
カエルの脱皮って。
で、そのときカエルが
すごくイイ顔するんですよねぇ‥‥。 |
糸井 |
あの、
Tシャツの感想を‥‥(笑)。 |
全員 |
わはははは。 |
祖父江 |
あ、はい、ええと、
アカハライモリのTシャツは
「勝負のとき」用につくったんですが、
発泡インクの部分を触っていると、
なんだかすごく気持ち良くて
自分を落ち着かせる効果もあって、
一石二鳥なんですよ、これ! |