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T-1出場者に糸井重里が訊く。
日本を代表する9人のデザイナーがT-1ワールドカップに集います。販売を前に、主宰者・糸井重里が出場者全員にお話をうかがいました。
祖父江 慎(前編) プロフィールを見る プロフィールを見る
これは、あなたを強くするTシャツです。

祖父江 この、いろんな人が集まって
やるぞ、みたいなかんじになっているのは、
おもしろいですね。
ちょっと、たいへんなことになってますよね。
 
糸井 たいへんなことになってますね(笑)。
 
 
 
祖父江 このメンバーの名前が並ぶっていうことじたい、
あり得ないことなんじゃないかと思って
びっくりしました。
 
糸井 あり得ないような人たちが、同じリングにのぼる。
それができるのは、
「Tシャツ」くらいしかないと思うんですよ。
この並びに、祖父江さんが入っていることからしても、
おかしいですよね。
 
祖父江 ですよね。
なぜ僕が入っているんだろう、というふうに、
思いました。
いや、この並びに、ぜひ、いたいんですけれども、
いたいけどもほんとにいいのかな?
という気持ちが見えかくれしてしまいます。
 
糸井 みんなそれぞれの人が
「なぜ僕が」と思っているんですよ。
ただ、全員がものすごく忙しい方ばかりですから、
無理かもしれないな、と思って声をかけたのですが、
引き受けてくださって、ありがとうございます。
祖父江さんが、これまで
Tシャツをおつくりになった経験は?
 
 
 
祖父江 小学館の雑誌「スピリッツ」で
賞品用のTシャツをつくったことがあります。
ギャグマンガの賞を獲った人に、
恥ずかしくて着られないハデなTシャツを
送りつけようという企画だったんです。ふふふ。
誰が着ても、裾がおへそより上、
お乳の下ぐらいにくらいになるような、
ものすごく丈が短いTシャツなんです。
そして、二の腕のところがキュッとしまっていて
その先にフワッとフリルがありました。
左右の腕の部分には、白地に赤い
でかい水玉模様があって、
フリルが、何色だったか忘れたけど、
とてもきれいな色の太めのストライプで。
 
でね、その賞品用のTシャツのサンプルをもらって、
試着して仕事をしてみたら、すっごいやりにくいの。
袖口がやけに広がってるから、
ものを取るたびにいろんなとこにぶつかって
ガラガラガラっていろんなものを倒しちゃう。
フラメンコの人が仕事しているみたいになって、
消しゴムは落ちるし、鉛筆は転がるし。
 
それが僕の、
はじめてつくったTシャツです。
僕にとってTシャツは、
「着たくないもの」がスタートだったんですね。
今回の「みんなが着たい」というテーマとは、まるで逆。
それ以来、いくつかつくりましたが、
普通のTシャツはつくったことがないです。
ちゃんとふつうに着るためのTシャツは、
これが、はじめてのチャレンジです。
 
糸井 祖父江さんは、本の装丁の世界では、
社会性の中に「セーフ」というかんじで
存在していらっしゃいます。
 
祖父江 うん。けっこうセーフでしょ?
 
 
 
糸井 変なことをしているとはいえ、
妙に印刷のことを考えたり、
本屋さんに置かれたときのことを
考えてくれてたりします。
今回のTシャツでは、どうだったのでしょうか。
 
祖父江 うーんとね、男の子のTシャツって
あんまりいいのがないでしょう。
 
糸井 祖父江さんは、昔から
「できたら女ものを着たい」と
言っていましたね。
 
祖父江 そうそう。
男の子の服装って、
ストリート系かフォーマル系か、
そのくらいしかないような気がする。
選択の幅が、ちょっとしかないようなかんじがしません?
もっと女の子みたいに、
いろんな服があればいいのに。
男の子の服で、いいのがなかなかないから、
僕は、女子売り場で
いちばん大きいサイズを買ったりしています。
でも大きいサイズのってあんまりないから
同じ服ばっかり着ているうえに、
どれもこれも目立って記憶に残りやすいから、
着回してるのが、まるわかりなんです。ふふ。
「今回は、売れたものが優勝」というルールなんですが、
売れるもの、という方向で考えるのは難しいから、
それはやめて、
自分が着たいものにしようかなと思って。
 
糸井 祖父江慎という人が着たいTシャツだったら、
みんな欲しくなるでしょうね。
 
祖父江 だといいですね。
これが、今回のアシスタントの
アカハライモリちゃんでーす。
 
 
 
糸井 イモリ‥‥みゆきちゃん、ですね。
アシスタントというか、
Tシャツの資料ですね。
 
祖父江 いま僕は、なんだか生きもの系に
行っちゃってるとこなんですよ。
 
糸井 あ! ちょっと、みゆきちゃん、
いま、危ないところにいたよ。
死の淵にいた。
 
祖父江 乾きやすいから、あぶないよね。
(イモリを水槽に戻す)
お、いきいきと活動を再開しました。
あやうくみゆきちゃんがカワキものに
なっちゃうところでした。
 
糸井 みゆきちゃんがしのぶちゃんになっちゃうね。
生きものは、やっぱりおもしろいですよね。
 
祖父江 うん。売れる用Tシャツのテーマにしたのは、
このアカハライモリちゃんと、スズガエル。
スズガエルって、見た目は地味なんですよ。
(ふたりでカエルの図鑑を見ながら
 熱心に解説しあう)
 
糸井 産んだ卵を皮膚の下に埋めて歩く
カエルなら知ってるよ。
 
祖父江 埋まったまま育って、
カエルになったら皮膚をやぶるように
ぽよぽよぽよ〜って出てくるやつでしょ。
あれは、すごい防御の方法だと思うんですよ。
誰が見ても触りたくないじゃん。
もしかしたら、おいしい卵かもしれないけど、
ちょっと嫌じゃん。
 
糸井 あれが世界三大珍味だったら、
話は盛り上がるねぇ。
 
祖父江 あとね、体に毒がある、ヤドクガエル。
この柄もTシャツの柄にまぜました。
背中にオタマジャクシ乗せて運ぶ人気者です。
あんなに堂々と、
かわいいとか言われながら、
平気でオタマしょえるのは毒がある証拠。
毒があるからできることだよね。
毒があるからできる自由な行動!
キャハハハハ。
 
糸井 子どもをおとりにして
カウンターアタックを狙ってるんだね。
そういう物語が
このTシャツに乗っているわけです。
すばらしいです。
 
 
 
祖父江 これはね、
勝負のときに、着てほしいです。
 
糸井 みなさん、いま、祖父江さんは、声を変えましたよ。
吹き出しにして書きたいくらいです。
 
祖父江 でもまあ、ふだんに着てもいいですけど。
 
糸井 ふだんも勝負ですからね。
 
祖父江 はい、ふだんが勝負の人に限り、
ふだん着てもいいです。
「おーい、ソブエー」とか、
「イトイー」とか、
うしろから呼ばれたとするでしょう。
「なにー?」と振り返ったときに、この
アカハラちゃん+スズガエルちゃん+ヤドクちゃんが
バーンと目に入るわけですよ。
アカハライモリがひっくり返ったときに
急に赤くてびっくりするのと同じで、
名前を呼んだ相手は、完全に驚きます。
人間なのに、強いよ、これは。
確実に、強くなれるTシャツなんです。
それに、まっ赤とペイルグレイピンクとで、
きれいでステキ。
 
 
 
2005-09-21
  後編へつづく


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