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糸井 |
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今回のT-1ワールドカップは、
青木さんにはぜったいに
出場してほしいと思っていたんだけど、
まずは、「Tシャツで競う」ということを
どう思いましたか?
また、ほかの出場選手たちについては?
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青木 |
最近は、市場(しじょう)でもふつうに、
Tシャツを核にして
店ができていたりしますから、
Tシャツで力を問われることについては
そんなにびっくりはしませんでした。
ほかのメンバーも、
よく知ってる人たちが多かったので、
その部分でも、どうこう
思ったりはしなかったです。
出場者には、いろんなタイプがそろっているので、
なかには、じっくり考えられる方も
もちろんいらっしゃると思います。
そのなかで、僕が直感で出したものが
はたしてどれだけ競ることができるのかを
見てみたい、という気持ちがあります。
今回は、無理に意気込まずに、
いまの自分がやってることを基軸に
アイデアを自然体で返そうと思っています。
「いま自分がやってることで
T-1の企画とダブる部分はどこかな」と考えて
そのあたりを出していくといいかな、と思いました。
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糸井 |
Tシャツではないふだんの仕事では、
青木さんは、どんな
取り組みをしているのですか?
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青木 |
ふだんはわりと、企画をたくさん考えます。
ただ、戦略を組み立てようとしても、
「こういうふうにやれば勝てるかもしれない」
というアイデアが浮かぶときと、
「どうしたらいいかわからない」
というときがあります。
例えば、化粧品の広告の依頼が来た場合、
仕事は受けたりするけれども、
自分は化粧品を使わないから、
どうしたものか、すごくわからなくて、
リサーチをしたりします。
それでも実感がないままの場合があったりする。
そうなるとたいへんで(笑)、
かなり苦労をします。
反対に、ビールの広告なんかがそうなんですけれども、
自分が好きで、自分にとってわかりやすいものは
いいか悪いかはわかんないけど、
「こうしたい」というものが
すぐにあることが多いです。
「進めていくこと」に限っていうと、
自分の考え方が見えているもののほうが、
やりやすいんです。
でも、今回のTシャツは、
そのどちらでもない考え方ですすみました。
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糸井 |
僕らがやろうとしているT-1は
特別な審査員がいるわけでもなくて、
市場のお客さんが「買う」ということで
参加をするシステムにしました。
でも、デザイナーって、
そういうことが嫌ではないですか?
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青木 |
ひじょうにわかりやすくて、
おもしろいな、と思いましたよ。
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糸井 |
青木さんは、いままでTシャツを
いっぱいつくってきたでしょう?
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青木 |
そうですね、たくさんつくってきました。
僕は、Tシャツは、
絵柄というよりも、着たときのかんじで
よしあしを判断する傾向があります。
つまり、おもに、素材感と形ですね。
上に載っているデザインは、そんなには気にしなくて、
極端に言うと
無地であってもべつにオッケーだと思っています。
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糸井 |
Tシャツを買うときって、
みんな、無意識にいろんなことを考えてると思います。
これまで「ほぼ日刊イトイ新聞」で、
何年間かTシャツを扱ってきて、
わかったことがいくつかあります。
極端なところでは「無地にしてくれ」という
お客さんからの意見もありました。
でも、実際に無地のTシャツを販売したら、
きっと誰も買わないでしょう。
300円で売ってるTシャツでも、
2万円や3万円のTシャツでも、
いいものはいい。
自分がどうやってTシャツを選んでるのかということが、
つまり「買うときの気持ち」が
どうもわかんないんですよ。
分析しきれない。
「今年のTシャツがどうよかったか」という
ものすごい数の答えが、
「ほぼ日」では毎回返ってくるんです。
「やっぱりな!」と思えて、次のTシャツがまたできる。
でも、たくさんの反響があっても、
それがほんとうに、どういう意味を持ってるのかは、
まだまだわからないんです。
だから、このT-1で
「あれがよかったんだね」という結果をひとつ、
お客さんが出してくれるのは、
ものすごく楽しみなんです。
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青木 |
結果がどうなるかは、
ぜんぜんわかんないですね。
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糸井 |
特に広告系の人たちは、
Tシャツをメディアとして使うでしょうから、
例えば「○○ビール」と、
文字を載せることがあるかもしれないし、
歌手の名前を載せるかもしれない。
そういう意味で、
新聞広告や雑誌広告、ポスターなんかと
Tシャツはどう違うんだろう?
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青木 |
たしかにメディアとして使うことがよくあります。
Tシャツは、けっこう
瞬発力があるものだと思っているんです。
広告とはちょっと違うんだけど、
例えばわかりやすいことで言うと、
広告のキャンペーンをしていて、
イベントがあって、Tシャツをつくったりします。
そうするとけっこう簡単に、
そのスタッフたちがまとまったように見えて、
その会場に来る人にも、
さらなる期待感をもたらしたりすることが
できると思っているんです。
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糸井 |
Tシャツは、何らかの力をもたらすものだね。
Tシャツはそれが力を持っているときだけに着て、
あとは着なくてもいいものかな?
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青木 |
時間がたてば、また違った流行りものがあるので
その時、話題にもなっているものへ
移っていくと思いますね。
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糸井 |
ウォーホールが、
マリリン・モンローを
プリントしたような気持ちなんだろうか?
人々の欲望を載っける、というように。
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青木 |
そうですね。
いま話題になってるもの、
どん詰まりになっていない文化、
笑っちゃうくらいポピュラーなものなんかが、
Tシャツには向いているのかもしれません。
ですから、今回のT-1の、僕が出すTシャツは
いま自分がやってることに
ダブらせようと思ったんです。
これは、T-1のスタッフの方から
この大会の説明を聞いている場で、
「じゃあ僕はこれをやることに決めました」
と言ったんですよ。即決です。
いいことか悪いことかはわかんないけど、
僕は広告的なことをやってるので、
いま進行していることは、
ある程度話題にはなってるだろうし、
それとリンクすれば、
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糸井 |
話題性が出るんだね。
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青木 |
ええ。そういうことが、あるかなぁと思って。
だから、いまやってることで、
ポンポン出そうと、まず、決めたんです。
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