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T-1出場者に糸井重里が訊く。
日本を代表する9人のデザイナーがT-1ワールドカップに集います。販売を前に、主宰者・糸井重里が出場者全員にお話をうかがいました。
青木克憲(前編) プロフィールを見る プロフィールを見る
Tシャツは、じつはいちばん瞬発力のあるメディアです。

糸井 今回のT-1ワールドカップは、
青木さんにはぜったいに
出場してほしいと思っていたんだけど、
まずは、「Tシャツで競う」ということを
どう思いましたか?
また、ほかの出場選手たちについては?
 
青木 最近は、市場(しじょう)でもふつうに、
Tシャツを核にして
店ができていたりしますから、
Tシャツで力を問われることについては
そんなにびっくりはしませんでした。
ほかのメンバーも、
よく知ってる人たちが多かったので、
その部分でも、どうこう
思ったりはしなかったです。
 
出場者には、いろんなタイプがそろっているので、
なかには、じっくり考えられる方も
もちろんいらっしゃると思います。
そのなかで、僕が直感で出したものが
はたしてどれだけ競ることができるのかを
見てみたい、という気持ちがあります。
 
今回は、無理に意気込まずに、
いまの自分がやってることを基軸に
アイデアを自然体で返そうと思っています。
「いま自分がやってることで
  T-1の企画とダブる部分はどこかな」と考えて
そのあたりを出していくといいかな、と思いました。
 
糸井 Tシャツではないふだんの仕事では、
青木さんは、どんな
取り組みをしているのですか?
 
 
 
青木 ふだんはわりと、企画をたくさん考えます。
ただ、戦略を組み立てようとしても、
「こういうふうにやれば勝てるかもしれない」
というアイデアが浮かぶときと、
「どうしたらいいかわからない」
というときがあります。
 
例えば、化粧品の広告の依頼が来た場合、
仕事は受けたりするけれども、
自分は化粧品を使わないから、
どうしたものか、すごくわからなくて、
リサーチをしたりします。
それでも実感がないままの場合があったりする。
そうなるとたいへんで(笑)、
かなり苦労をします。
 
反対に、ビールの広告なんかがそうなんですけれども、
自分が好きで、自分にとってわかりやすいものは
いいか悪いかはわかんないけど、
「こうしたい」というものが
すぐにあることが多いです。
「進めていくこと」に限っていうと、
自分の考え方が見えているもののほうが、
やりやすいんです。
 
でも、今回のTシャツは、
そのどちらでもない考え方ですすみました。
 
糸井 僕らがやろうとしているT-1は
特別な審査員がいるわけでもなくて、
市場のお客さんが「買う」ということで
参加をするシステムにしました。
でも、デザイナーって、
そういうことが嫌ではないですか?
 
青木 ひじょうにわかりやすくて、
おもしろいな、と思いましたよ。
 
糸井 青木さんは、いままでTシャツを
いっぱいつくってきたでしょう?
 
青木 そうですね、たくさんつくってきました。
僕は、Tシャツは、
絵柄というよりも、着たときのかんじで
よしあしを判断する傾向があります。
つまり、おもに、素材感と形ですね。
上に載っているデザインは、そんなには気にしなくて、
極端に言うと
無地であってもべつにオッケーだと思っています。
 
 
 
糸井 Tシャツを買うときって、
みんな、無意識にいろんなことを考えてると思います。
これまで「ほぼ日刊イトイ新聞」で、
何年間かTシャツを扱ってきて、
わかったことがいくつかあります。
極端なところでは「無地にしてくれ」という
お客さんからの意見もありました。
でも、実際に無地のTシャツを販売したら、
きっと誰も買わないでしょう。
 
300円で売ってるTシャツでも、
2万円や3万円のTシャツでも、
いいものはいい。
自分がどうやってTシャツを選んでるのかということが、
つまり「買うときの気持ち」が
どうもわかんないんですよ。
分析しきれない。
 
「今年のTシャツがどうよかったか」という
ものすごい数の答えが、
「ほぼ日」では毎回返ってくるんです。
「やっぱりな!」と思えて、次のTシャツがまたできる。
 
でも、たくさんの反響があっても、
それがほんとうに、どういう意味を持ってるのかは、
まだまだわからないんです。
だから、このT-1で
「あれがよかったんだね」という結果をひとつ、
お客さんが出してくれるのは、
ものすごく楽しみなんです。
 
青木 結果がどうなるかは、
ぜんぜんわかんないですね。
 
糸井 特に広告系の人たちは、
Tシャツをメディアとして使うでしょうから、
例えば「○○ビール」と、
文字を載せることがあるかもしれないし、
歌手の名前を載せるかもしれない。
そういう意味で、
新聞広告や雑誌広告、ポスターなんかと
Tシャツはどう違うんだろう?
 

 
青木 たしかにメディアとして使うことがよくあります。
Tシャツは、けっこう
瞬発力があるものだと思っているんです。
 
広告とはちょっと違うんだけど、
例えばわかりやすいことで言うと、
広告のキャンペーンをしていて、
イベントがあって、Tシャツをつくったりします。
そうするとけっこう簡単に、
そのスタッフたちがまとまったように見えて、
その会場に来る人にも、
さらなる期待感をもたらしたりすることが
できると思っているんです。
 

 
糸井 Tシャツは、何らかの力をもたらすものだね。
Tシャツはそれが力を持っているときだけに着て、
あとは着なくてもいいものかな?
 
青木 時間がたてば、また違った流行りものがあるので
その時、話題にもなっているものへ
移っていくと思いますね。
 
糸井 ウォーホールが、
マリリン・モンローを
プリントしたような気持ちなんだろうか?
人々の欲望を載っける、というように。
 
青木 そうですね。
いま話題になってるもの、
どん詰まりになっていない文化、
笑っちゃうくらいポピュラーなものなんかが、
Tシャツには向いているのかもしれません。
 
ですから、今回のT-1の、僕が出すTシャツは
いま自分がやってることに
ダブらせようと思ったんです。
これは、T-1のスタッフの方から
この大会の説明を聞いている場で、
「じゃあ僕はこれをやることに決めました」
と言ったんですよ。即決です。
 
いいことか悪いことかはわかんないけど、
僕は広告的なことをやってるので、
いま進行していることは、
ある程度話題にはなってるだろうし、
それとリンクすれば、
 
糸井 話題性が出るんだね。
 
青木 ええ。そういうことが、あるかなぁと思って。
だから、いまやってることで、
ポンポン出そうと、まず、決めたんです。
 

 
2005-09-15
後編へつづく


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