
みなさん、こんにちは。
さてさて、今回は
前回の外国人デザイナー編に引き続き、
日本人デザイナーのTシャツのみどころを
ちょこっとずつ、紹介していきましょう。
日本を代表する、精鋭10人のTシャツ。
さっそく、一気に行きましょう!
それでは、どうぞ!
●鯉のぼり2006
青木克憲
Katsunori Aoki

胸に「鯉のぼり」をかぶった(!?)男の子のイラスト、
そして背中には、「Japan」の文字。
これらをシルバーで箔押しした「鯉のぼり2006」。
たとえば「富士山」のように、
むかしから日本の象徴なんだけれど、
現在にも通用するアイコンを追い求めた結果、
「鯉のぼり」というモチーフにたどり着いた青木さん。
イラストだけで、すでに「日本」なこのTシャツ、
童謡の『こいのぼり』のように
お父さん、お母さん、子供たちがならんで、
家族みんなで着てほしい、とのことでした。
ちなみに、この「Japan」の文字、かわいらしいですよね?
これ、「アフロート」というオリジナルの書体なんですよ。
●stitched(ステッチド)
青木淳
Jun Aoki

建築の分野からT-1に参加してくれた青木淳さん。
真っ白なボディに、左肩のあたりから背中にかけて
糸を模したピンクのプリントをあしらいました。
stitched(ステッチド)という名前のとおり、
ピンクの糸のようなプリント部分は、
ややインクを厚く盛って、まるで刺繍のよう。
ほとんど真っ白なTシャツなので、
その存在感が、いっそう際立ちますよね。
「単なる白いTシャツにも見え、
色つきの糸でヘタに縫い合わされたようにも見え、
また生きた糸が勝手に
Tシャツを縫ってしまったようにも見える、
そんなTシャツです」とは、ご本人からのコメント。
●MounT. FUJI(マウンティー・フジ)
秋山具義
Gugi Akiyama

日本にあるもので、日本人にはもちろんのこと、
外国のかたからも愛されているものって、何だ!?
考えに考え抜いた秋山さんが
最終的にたどり着いた答えは、やはり「富士山」!
このTシャツを着て、
富士山を背景に写真を撮ってほしいし、
富士山に登るときにも着てほしい。
でもじつは、街で着るのがかっこいいはず!
ちなみに、酔っぱらったり、怒ったりして
顔が真っ赤になったときに着ていると
富士山が噴火しているように見えます、
との、たのしい着こなしアドバイスも!
●ライオン、跳ねている。(LION HA-NETEIRU.)
井上嗣也
Tsuguya Inoue

イラン絨緞の絵柄にあったライオンに触発され、
着ていると、元気で楽しくなれそうな
Tシャツにしようと決めた、井上さん。
ヘビにおしりをかまれ、「跳ねて」いるライオン。
コム デ ギャルソンの広告をはじめ、
一連の代表作とは、またひと味ちがった、
もうひとつの井上さんワールドが展開されています。
なお、このTシャツに似合う音楽は?
とお聞きしたところ、
THE TOKENSの
“THE LION SLEEPS TONIGHT”を挙げてくれました。
つまり、「ライオンは、ねている」。
そして、Tシャツの名前が「ライオン、はねている」‥‥。
●愛したい日本
大橋歩
Ayumi Ohashi

大橋さんがモチーフに選んだのは、
日本の「波」と「太陽」、
そして、背中の「富士山」。
ボディの色は、サッカー日本代表の
チームカラーでおなじみ、ジャパンブルーです。
昨年のT-1にひきつづき、大橋さんならではの
ほんわかとしたテイストのイラストで、
今回も、幅広い層に支持されそうな
Tシャツに仕上がりました。
そして、その名前は「愛したい日本」。
誇れる日本について、考えてほしいという
大橋さんからのメッセージも、届いていますよ。
●JPNAA
佐藤可士和
Kashiwa Sato

ほんのりとしたさくら色に
マットなシルバーのプリントで、「JPNAA」。
そして、背中を見てみると、
こちらには「ANPJA」のバックプリント。
もちろん、これらは「JAPAN」を表しています。
可士和さんによると、ストレートに「JAPAN」と書いても
なんだかバカげてておもしろい、と思ったそうなんですが、
日本で着るには、ちょっとむずかしいかも!?
かといって「JPN」もありきたりでつまらないので、
「JAPAN」のアルファベットを組みかえて、
「JPNAA」「ANPJA」のように記号化してみた、とのこと。
なお、シルバー部分は、ラバーインクにアルミを混ぜたもので
青木克憲さんの銀箔とはちがい、ちょっとざらざらした質感。
●104.5°
佐藤卓
Taku Satoh

昨年の第1回 T-1ワールドカップでは、
右手の届く範囲にマーカーで色をつけたデザインと、
左手の届く範囲でガムテープを貼りつけたデザイン、
という、インパクトの強いTシャツで勝負してきた、卓さん。
うってかわって今回は、
さわやかなミントグリーンのボディに
シンプルなロゴを載せたデザインで参戦してくれました。
しかし、そのロゴは「104.5°」というナゾの数値。
卓さんによると、地球上のすべてのものは、
「何かがこの角度でなければ、存在できない」らしいんです。
そして、タグには「an important angle for us」
という意味ありげな言葉が、書かれています。
さて、問題。この角度はいったい何の角度でしょう?
●sleeping fish
祖父江慎
Shin Sobue

びっしりと描き込まれた曲線で、プールの水もようを表現。
そして、右胸の部分で静かにねむる、2匹の金魚。
祖父江さんのTシャツには、
今回も、随所にこだわりがつらぬかれています。
ブルー、プンク、イエローの組み合わせで
構成された金魚のプリントにも、
それぞれの色がずれないよう、入念にチェック。
「プールの水もようのイメージは、やや過剰なホックニー、
そこにリアルなうろこを持ちながら、
シルエットがややマティスな金魚」というのが
「sleeping fish」制作の際、祖父江さんが抱いたイメージ。
ここで、ホックニーとは、プールを描いた作品で有名なアーティスト、
マティスは、「野獣派の王」と呼ばれた20世紀の芸術家のことです。
●バラ色
深澤直人
Naoto Fukasawa

日の丸を思わせるような白地×赤のカラーリングは、
日本を象徴するイメージ。
そして、衣類にプリントする花柄としての定番、
といえば、バラの花。
そのふたつのモチーフを、
サッカーボールと組み合わせてできたのが、
深澤さんのTシャツ、「バラ色」です。
日本、バラ、サッカーボールという
一見、まったく関係のないモチーフを使いながら
今回のT-1ワールドカップためのTシャツに
ふさわしいコンセプトを持った一枚に仕上げてしまうあたり
さすが、世界でもトップクラスのプロダクトデザイナー!
プリント工程で幾多の試行錯誤を繰り返し、ようやく完成した
赤いバラの発色とグラデーションに、注目してください!
●オレココT(WHERE IS YOUR COUNTRY?)
箭内道彦
Michihiko Yanai

当初、胸に赤い文字で「JAPAN」、
背中に「NIPPON」、そして袖に日の丸旗、という
まったく別のデザインを予定していた箭内さんですが、
「突然、コミュニケーションのきっかけに
なれるようなTシャツが作りたくなった」と
急きょ、「オレココT」にデザイン変更。
このTシャツを着た人が
「オレの国はココだぜ!」と指を差せば、
まわりの人も「オレはココ!」と指差しかえす。
このTシャツは、そんなコミュニケーションツールなのです。
なお、世界地図のプリントには
「光を蓄積し、暗闇で光る」という性質を持つ
「蓄光インク」を使用しています。
昼でも、夜でも楽しいTシャツ!

以上、参加デザイナー全24組のTシャツを、
そのエッセンスのみ抜きだして、
ざざーっと紹介してきましたが、
さすがに、一筋縄ではいかないものばかりでしょう?
このTシャツ、こんなデザイナーが作った、
こんな意味のTシャツなんだよ!! なんて
ついつい、まわりの人に
言いたくなってしまうんじゃないでしょうか。
そして、これら24枚なかから、
Tシャツの世界王者が、生まれるのです。
みなさん、どのTシャツに投票しますか?
たたかいは、まだまだ序盤戦です!
2006/6/13 火曜日
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