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糸井 |
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祖父江さんのつくった
2種類のTシャツについて、
お伺いしていきましょうか。
では、iPodのほうから。
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祖父江 |
このTシャツのもとになったのは、
これです。
これね、イカちゃんに見えるけど
じつは違いますよ。
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糸井 |
アンモナイトちゃん?
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祖父江 |
ピンポン! でもって、サンハンちゃんでもありまーす。
つまり、三半規管ちゃんなの。
これは、自分の耳のなかにひそむ生物ね。
こんなのが、iPodの音を聴いているんだよ。
三半規管って、かわいいよね。
かわいいのに、フィギュアも出ないし、
おかしいな、と思ってたんですよ。
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糸井 |
三半規管とアンモナイトは
こうやって見てみると
けっこう近いですね。
三半規管を眺めて、アンモナイトに想いを寄せる。
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祖父江 |
サンハンちゃんと、
モナイトちゃんを、
結婚させてるとこよ♪
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糸井 |
とこなのね。
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祖父江 |
うん。それでね、
今回は、これを上手に描いてみようと
思ったわけです。
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糸井 |
祖父江さんが真剣に、
20年ぶりに描いた絵ですから、
それだけで、価値がありますよ。
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祖父江 |
ほんとに、このごろは絵を描いてなくてね。
今回は、描きたかったの。
ほんとに、久し振りに絵を描きました!
テーマは、「耳をすませば」です!!
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糸井 |
驚くほどこまかい絵だね。
これは、着れば着るほど、
風合いが増していくTシャツになると思います。
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祖父江 |
カワイイと思うんだけどなぁ。
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糸井 |
思い入れがタップリですね。
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祖父江 |
サンハンちゃんTシャツのほうは、
風通しのいいインキでプリントします。
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糸井 |
これ、描くのにどのくらいかかったの?
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祖父江 |
ふだん、人(イラストレーターさんなど)には
一気に描け!とか言っているくせに、
この絵をかくのに、2日もかかりました。
間に1回寝ちゃったんです。ハハハハ。
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糸井 |
祖父江さんの事務所で
デザインのアガリを待っている編集者のみなさんが
「祖父江さんが、絵を描いている‥‥」
と、たいへんめずらしがったという噂を聞いています。
祖父江さんは、いつもは、
描いてる暇は、ないもんね。
いま、チラッと見えたんだけど、
もとの絵は図鑑の絵‥‥?
図鑑の絵を拡大したんだ。
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祖父江 |
うん。これはね、図鑑に載ってたんですよ。
ちょっとずるっこで、写し絵をやりました。
これは、黙ってようかなと思ったんだけど、
つい、見せちゃう癖があって。
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糸井 |
しまった。
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祖父江 |
しまった。
ふふふ。でも、
ほんものの三半規管には、
目と、2本の足は、ありません。
頭のクルクルをまわしても音は鳴らないよ、
まわりのまるいところを、
iPodはまわさないとね!
ね、ぐふふふふ、これ、何て書いてあるでしょう?
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糸井 |
3.5‥‥。
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祖父江 |
ぐふふふふ、何て読む?何て読む?
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糸井 |
サン‥‥ハン‥‥。
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祖父江 |
ピンポンピンポーン♪
‥‥ふぅ。
それでもってね、
もうひとつのTシャツは、
自分が強くなるためのTシャツです。
みためはスズガエルとアカハライモリで、
気分はヤドクガエル!
現代版ウルトラマンの警備員みたいな、
かんじで、着てくださいね。
アカハライモリのおなかの気分よ!
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糸井 |
この人は、ほんとうに
おもしろいこと考えるもんだねぇ。
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祖父江 |
イモリがひっくりかえったときに、
赤くて「キャッかわいい!」と
なるでしょ? あの気分です。
この、うろこ状のものに
ピッタリくる模様をつくるのに、
なかなかいい素材がなかったんですよ。
シャケ、ヘビの皮、コハダ、
いろいろ試したけど、だめでした。
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糸井 |
そうなんですか。
うーん、ウロコの形のいいもの、ねぇ。
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祖父江 |
本物のウロコを持ってきて
スキャンしても、
いいウロコにならないんですよ。
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糸井 |
荒巻ジャケなんて、どうでしょうか。
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祖父江 |
‥‥乾いてたらよかったのかもしれないけど
生ジャケはスキャンで取り込んでも、
ウロコがきれいで透き通っているから、
境界がわかりにくいんです。
そうすると、あとはアロワナくらいかな?
なんて思ったんですが、
でもアロワナをスキャニングすると
怒られそうですよね。
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糸井 |
死ぬもんね。
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祖父江 |
スキャナの光って
生きものの眼にもよくないしね。
結局使ったのは、サバです。
淡いピンクとグレーの部分が、
サバの模様なんですよ。
そして、まっ赤な部分の模様は、なんと、
「ぷくぷくリンスインシャンプー」です!
スキャナーに泡をジューって出して、
スキャンしました!
セアカヤドクガエルのおなかの模様って、
ぷくぷくシャンプーと同じなのね。
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糸井 |
この柄が、実際にどんなふうに
Tシャツとしてプリントされてくるかが
たのしみですねぇ。
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祖父江 |
このちょっと細かくて白い部分をね、
ぷっくり、ややネチャなインクで
刷りたいんだけど、できる?
それで、両生類の肌ごこちに近づけたいんですよ。
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糸井 |
できると思いますよ。
ここまで凝ってることが、
画面上で伝わりにくいかもしれないけど、
これは、ほんとに、たのしみです。
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祖父江 |
タイヤで轢かれたかんじでプリントしてね。
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糸井 |
ハハハ、わかりました。
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