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糸井 |
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大橋さんは、いま、雑誌「アルネ」を
発行されています。
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大橋 |
「アルネ」をはじめてから、
いろんな方に会わなきゃいけないというか、
会わなきゃ話にならないので、
出かけて行くでしょう?
そうすると、まずアガるんですよ。
深澤直人さんに取材させていただいたときにも、
カーッとアガっちゃったんです。
すると一緒に行った子も
つられてアガっちゃうんですよ(笑)。
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糸井 |
そのかんじがね、大橋さんから伝わってくる。
毎日勇気を出しているんだなぁと思うと、
励みになります。
ここが、「アルネ」をつくられている現場なんですね。


写真も、すべて大橋さんが撮っているんでしょう。
これは、レイアウト見本?
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大橋 |
私は素人だから、
雑誌の割り付けについては、ぜんぜんわかりません。
想像できないんですよ、仕上がりが。
流れも自分でわからないとダメなので、
見本をつくって確かめながらやってくしかない。
自分で料理をつくりながら写真を撮ってるから、
自分の手でフライパンを持って、
どうやって撮ろう?とか(笑)。
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糸井 |
やるたんびに覚えてくんですよね。僕もそうでした。
このやり方で、3万部以上刷っていらっしゃる。
もう「『アルネ』ですが」と名乗って取材を申し込んだら、
知っている人のほうが多いんじゃないですか。
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大橋 |
「『アルネ』ならいいよ」って
出てくださる方もいらっしゃいます。
マイナーだからだと思うんですけどね。
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糸井 |
わかります、それ。
そういう役割がもう出て来たんですね。
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大橋 |
まだまだ、もう一回転くらい必要です。
いま、3年なんですが
3年でようやっとなんとか、
おもしろいところなんです。
なんだかね、
助けられてる何かがあるという気がするんですよ。
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糸井 |
僕も、自分でそう思います。
「時期」ってきっとあるんですよ。
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大橋 |
ありますね。
「これは、やりなさい」って風が
吹いたんだと思います。
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糸井 |
ほかの人たちのTシャツのデザイン、
少しだけ、ごらんになりますか?
佐藤卓さんは、Tシャツにガムテープを貼って
デザインしたんですよ。
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大橋 |
かわいいー!
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糸井 |
これはウェブデザインをやってる、
トム・ヴィンセントさん。
イギリス人なんですけど、
自分が着るTシャツは無地が好きなくせに、
こんなのをつくってきたんです。
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大橋 |
へえ! おしゃれ。
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糸井 |
これは深澤直人さんで、
心臓のところにスピーカーの模様があるんですよ。
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大橋 |
あっ、なるほど。
こういうことは、全然気がつかなかったなぁ!
みなさん、すばらしい。
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糸井 |
みんなそれぞれに、
「それ、ありなんだ!」と思うようなことを
みごとにやっていますね。
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大橋 |
秋山さんのは、クマがチェックでできているんですね。
いろんなチェックを貼りあわせて‥‥。
それぞれが、ほんとに、すごい。
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糸井 |
みんな、なんでもないような顔をして
デザインを提出してみせたりしてるけど(笑)。
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大橋 |
みなさん、遊んで、楽しんで、
つくってらっしゃる。
そして、ちゃあんと、苦労してらっしゃる。
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糸井 |
この、腕くらべのような状況のなかで、
大橋さんのTシャツは、
ポンと出てきた、強いものです。
きっと、他の人に与える影響があると思うんです。
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大橋 |
これは、昔だったら、雑誌がやってたような
仕事ですね‥‥いや、やっぱり、
雑誌ではこういうふうにできないな。
さすがに、ここまで広がらないと思います。
しかも、「売る」んですよね!
ねぇ‥‥それは、すごくおもしろい。
ほかの人たちのTシャツが、
欲しくなってしまいますね!
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糸井 |
大橋さんは、最近Tシャツを着ることは?
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大橋 |
いまは少なくなったと思います。
川久保さん(コム デ ギャルソン)のTシャツなどを、
欲しくなって、買うことは買うんですよ。
でも、あんまり着ない。
自分で着ないから、かわりに、まわりの若い子に
「着て」ってまわすんです。
もったいないからね。
自分で着ないことがわかっていても、やっぱり、
Tシャツには毎年「欲しいもの」があるんです。
買いたくなるんですよ、Tシャツって。
不思議ですよね。
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糸井 |
「作品」に近い考え方なのかな。
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大橋 |
そうかもしれませんね。
コム デ ギャルソンは、ちょっと特別かもしれない。
さきほども言いましたが、
放っておくと、保守になるんですよ、服って。
コム デ ギャルソンを着られる勇気をずっと
持っていたいなあ、という意識のあるお客さんが
ずっと川久保さんといっしょに
歩んでいるわけでしょう。
ときどき、一緒に行こうよ!と、
言われたような気になる。
コム デ ギャルソンを着るために、
私もときどき、がんばんなきゃと
思うときがあります。
ほんとに、川久保さんの仕事というのは
すごいです。
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糸井 |
そんな服が存在する、ということが、
おもしろいですね。
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大橋 |
Tシャツも、きっと、そうですね。
「いったいこんなTシャツが
ほんとうに売ってるのかなぁ」
と思うくらい、Tシャツって、
さまざまなものが幅広く存在します。
それぞれ、いろんな役割を果たしているんでしょう。
世の中にあるTシャツを全部集めたら
どんなことになるんでしょうか。
ものすごい数でしょうね。
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糸井 |
とんでもないことになりますよ。
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大橋 |
Tシャツは、ほんとうにいろいろありすぎて、
その存在自体も
いろんなふうに変化していますね。
Tシャツについて、みんなが自由に
とらえはじめているいま、
こういう機会を与えてくださってありがたいです。
でも、今回、私はちょっとまともだったかな?
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糸井 |
いや、それぞれ最終的には、
みんな案外まともだと思います。
奇をてらったってかんじには
どれもなってないです。
着られないTシャツをつくった人はひとりもいないし、
それぞれ、その本人が着たらいいだろうな、
というふうになってます。
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大橋 |
どれかが優勝することになってるんだけど、
これは、見当がつかないですね。
「これが優勝でした」「ああ、なるほど」
と思うだろうな。
いまから、それがたのしみですね。
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