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佐藤可士和
佐藤卓
祖父江慎
トム・ヴィンセント
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T-1出場者に糸井重里が訊く。
日本を代表する9人のデザイナーがT-1ワールドカップに集います。販売を前に、主宰者・糸井重里が出場者全員にお話をうかがいました。
大橋歩(後編) プロフィールを見る プロフィールを見る
Tシャツには買いたくなる不思議な力があります。

糸井 大橋さんは、いま、雑誌「アルネ」を
発行されています。
 
大橋 「アルネ」をはじめてから、
いろんな方に会わなきゃいけないというか、
会わなきゃ話にならないので、
出かけて行くでしょう?
そうすると、まずアガるんですよ。
深澤直人さんに取材させていただいたときにも、
カーッとアガっちゃったんです。
すると一緒に行った子も
つられてアガっちゃうんですよ(笑)。
 
糸井 そのかんじがね、大橋さんから伝わってくる。
毎日勇気を出しているんだなぁと思うと、
励みになります。
ここが、「アルネ」をつくられている現場なんですね。
 

 

 
写真も、すべて大橋さんが撮っているんでしょう。
これは、レイアウト見本?
 
大橋 私は素人だから、
雑誌の割り付けについては、ぜんぜんわかりません。
想像できないんですよ、仕上がりが。
流れも自分でわからないとダメなので、
見本をつくって確かめながらやってくしかない。
自分で料理をつくりながら写真を撮ってるから、
自分の手でフライパンを持って、
どうやって撮ろう?とか(笑)。
 
糸井 やるたんびに覚えてくんですよね。僕もそうでした。
このやり方で、3万部以上刷っていらっしゃる。
もう「『アルネ』ですが」と名乗って取材を申し込んだら、
知っている人のほうが多いんじゃないですか。
 
大橋 「『アルネ』ならいいよ」って
出てくださる方もいらっしゃいます。
マイナーだからだと思うんですけどね。
 
糸井 わかります、それ。
そういう役割がもう出て来たんですね。
 
大橋 まだまだ、もう一回転くらい必要です。
いま、3年なんですが
3年でようやっとなんとか、
おもしろいところなんです。
なんだかね、
助けられてる何かがあるという気がするんですよ。
 
糸井 僕も、自分でそう思います。
「時期」ってきっとあるんですよ。
 
大橋 ありますね。
「これは、やりなさい」って風が
吹いたんだと思います。
 
 
 
糸井 ほかの人たちのTシャツのデザイン、
少しだけ、ごらんになりますか?
佐藤卓さんは、Tシャツにガムテープを貼って
デザインしたんですよ。
 
大橋 かわいいー!
 
糸井 これはウェブデザインをやってる、
トム・ヴィンセントさん。
イギリス人なんですけど、
自分が着るTシャツは無地が好きなくせに、
こんなのをつくってきたんです。
 
大橋 へえ! おしゃれ。
 
糸井 これは深澤直人さんで、
心臓のところにスピーカーの模様があるんですよ。
 
大橋 あっ、なるほど。
こういうことは、全然気がつかなかったなぁ!
みなさん、すばらしい。
 
糸井 みんなそれぞれに、
「それ、ありなんだ!」と思うようなことを
みごとにやっていますね。
 
大橋 秋山さんのは、クマがチェックでできているんですね。
いろんなチェックを貼りあわせて‥‥。
それぞれが、ほんとに、すごい。
 
糸井 みんな、なんでもないような顔をして
デザインを提出してみせたりしてるけど(笑)。
 
大橋 みなさん、遊んで、楽しんで、
つくってらっしゃる。
そして、ちゃあんと、苦労してらっしゃる。
 
糸井 この、腕くらべのような状況のなかで、
大橋さんのTシャツは、
ポンと出てきた、強いものです。
きっと、他の人に与える影響があると思うんです。
 
大橋 これは、昔だったら、雑誌がやってたような
仕事ですね‥‥いや、やっぱり、
雑誌ではこういうふうにできないな。
さすがに、ここまで広がらないと思います。
しかも、「売る」んですよね!
ねぇ‥‥それは、すごくおもしろい。
ほかの人たちのTシャツが、
欲しくなってしまいますね!
 
糸井 大橋さんは、最近Tシャツを着ることは?
 
大橋 いまは少なくなったと思います。
川久保さん(コム デ ギャルソン)のTシャツなどを、
欲しくなって、買うことは買うんですよ。
でも、あんまり着ない。
自分で着ないから、かわりに、まわりの若い子に
「着て」ってまわすんです。
もったいないからね。
 
自分で着ないことがわかっていても、やっぱり、
Tシャツには毎年「欲しいもの」があるんです。
買いたくなるんですよ、Tシャツって。
不思議ですよね。
 
糸井 「作品」に近い考え方なのかな。
 
大橋 そうかもしれませんね。
コム デ ギャルソンは、ちょっと特別かもしれない。
さきほども言いましたが、
放っておくと、保守になるんですよ、服って。
コム デ ギャルソンを着られる勇気をずっと
持っていたいなあ、という意識のあるお客さんが
ずっと川久保さんといっしょに
歩んでいるわけでしょう。
ときどき、一緒に行こうよ!と、
言われたような気になる。
コム デ ギャルソンを着るために、
私もときどき、がんばんなきゃと
思うときがあります。
ほんとに、川久保さんの仕事というのは
すごいです。
 
糸井 そんな服が存在する、ということが、
おもしろいですね。
 
大橋 Tシャツも、きっと、そうですね。
「いったいこんなTシャツが
 ほんとうに売ってるのかなぁ」
と思うくらい、Tシャツって、
さまざまなものが幅広く存在します。
それぞれ、いろんな役割を果たしているんでしょう。
世の中にあるTシャツを全部集めたら
どんなことになるんでしょうか。
ものすごい数でしょうね。
 
糸井 とんでもないことになりますよ。
 
大橋 Tシャツは、ほんとうにいろいろありすぎて、
その存在自体も
いろんなふうに変化していますね。
Tシャツについて、みんなが自由に
とらえはじめているいま、
こういう機会を与えてくださってありがたいです。
でも、今回、私はちょっとまともだったかな?
 
 
 
糸井 いや、それぞれ最終的には、
みんな案外まともだと思います。
奇をてらったってかんじには
どれもなってないです。
着られないTシャツをつくった人はひとりもいないし、
それぞれ、その本人が着たらいいだろうな、
というふうになってます。
 
大橋 どれかが優勝することになってるんだけど、
これは、見当がつかないですね。
「これが優勝でした」「ああ、なるほど」
と思うだろうな。
いまから、それがたのしみですね。
 
2005-09-27
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