糸井重里(ほぼ日刊イトイ新聞)

もちろん、いまだってTシャツは流行している。
流行もしているし、定番化もしている。
もともと肌着だったはずのものなのだけれど、
これが外にでてからの歴史はあんまり長くはない。
短い時間のうちに、これだけ成長したというのは
思えばすごいことなのだ。

しかし、Tシャツというやつの潜在能力というのは、
こんなものではないと実感できないか。
カリフォルニアの廃虚となった金採掘現場で発見された
現存する最古のジーンズには、
そこで採掘されていた金鉱脈以上の価値が認められた。
そんな伝説のTシャツは、まだ存在していない。
『セックスピストルズ』の着ていた、
あの女王陛下を描いたぼろぼろのTシャツが、
それに近いものなのかもしれない。
100枚のリトグラフが、美術館に展示されているなら、
1000枚のTシャツのうちの何枚かが、
誰かうちの家宝になっていたっておかしくない。
ジミ・ヘンドリックスやら、キース・リチャーズの
ギターを飾ることで『ハードロックカフェ』に
たくさんのファンが集うのならば、
特別な価値のあるTシャツを、
パーマネントコレクションとして
みんなに見せる場所ができたって不思議はないだろう。
履いていたら盗まれることまで意識するスニーカーはある。
そんなTシャツの噂は、まだ聞いたことがない。
テレビもラジオも新聞もインターネットも、
街で配られるフリーペーパーもメディアだけれど、
Tシャツは、もっと効くメディアではないのだろうか。
時代時代に、その時代を表現するポスターがあった、
レコードジャケットがあった、モデルがいた、
流行り歌があった、映画があった。
そんなふうに記憶されるTシャツが、心から欲しい。

ほんとうにカッコいいTシャツとは、どんなものなのか?
人が欲しがってやまないTシャツとは?
強いTシャツとは、魅力あるTシャツとは、
セクシーなTシャツとは? 時代を象徴するTシャツとは?
Tシャツのナンバー1というのは、どれなんだ?

Tシャツというポテンシャル満タンの怪物に、
まぶしいほどの照明をあてて戦わせるための
闘技場(コロッセアム)を用意しました。

第2回T-1ワールドカップが、開幕します!